サレジオの器

ーある日、美のタカラモノと出会ったー 

サレジオの器

8.再会と別れ

それから晴れて結婚式が行われた。 結婚式場というほどではないが、そこそこ中規模の広さのホテルのホールを借り切ったので人数は52名ほど収容できるようだった。いわゆる大人数のウェディング用の大広間という格式高さではなかったけど、そこそこ豪勢な結…

7.愛の日々

気づいたら自分は彼女に簿記の勉強を教えるために、週末に時たま会うようになっていた。ある土曜は喫茶店だったり、その次の土曜は図書館だったり・・・都心の洒落たカフェで会ったこともあったが、勉強をするにはあまりもってこいの場所とは言い難かった。…

6.恋のリスタート

「え~25歳?修さん僕と同世代・・・?」「うん・・・そうだと思うよ。」勤め始めて2週間くらいたったある日、急に僕の歓迎会が行われた。蒲田の駅から徒歩7、8分くらいにある繁華街のとある居酒屋でみんなすでに酔い始めていてさっそくどんちゃん騒ぎが…

5.新たなリスタート

「それじゃあ・・・修一君これからはよろしくたのむね」 水川ネジの水川静社長にそう面接の時に言われたときは、心底ほっとした。 そんなに簡単に受かると思ってなかったからだ。 彼は父立彦の仕事の取引先の町工場の社長で、親の代からネジ工場を継いでいる…

4.就活の蹉跌

僕はいつもそうだ・・・肝心な時にいつもドジばかりする。運動会のリレーの大会の時にバトンを取り忘れてそのまま走り続けてしまい、横から先生に怒鳴るように言われていたが気づかずそのままゴールしてしまい、結局、無効でビリという結果になってしまいチ…

3.恋の喪失

桜井穂乃花と会ったのは実に2か月振りくらいだった。 「久しぶり修一」 「うん・・・久しぶり」 彼女は屈託のない笑顔を僕に見せながら喫茶店のテーブルの向こう側からそう言ってきた。 「あれ・・・もしかして元気ない?」 相変わらず勘が鋭い・・・ 多分…

2.嘘の発覚

修一がとっさにくたびれた寝間着姿で布団にくるまりながら仰向け気味に嘘をついたのは翌日早朝のことだった。 「今日は会社は休む。」 立彦がいつまでたっても起きてこない息子を心配にして、無理やり部屋に押し入ってきて聞いてみたら返ってきた答えがこの…

1.事件の発覚

聖フランシスコ・サレジオ 1月24日に、カトリック教会は聖フランシスコ・サレジオの日としてお祝いをします。サレジオ会の名前はここから取られています。サレジオ会の創立者ヨハネ・ボスコ神父(通称ドン・ボスコ)は、日本の幕末と同じような混乱した状…

サレジオの器~あらすじ~

仕事上の大ミスで会社をクビになった元エリート証券マンの修一は再就職もままならないまま、ある日将来を約束していた恋人兼婚約者の彼女にも振られ途方に暮れる日々を送っていた。そんな最中に修一は父立彦からある提案を受ける・・・ー元エリートが仕事や…